立退き関連キーワード集

このキーワード集は、研究メンバー間で用語の統一をはかることを主目的として、 下記に記したいくつかの参考文献をもとに作成しています。 的確な訳語が見つからない用語に関しては、無理に日本語をあてはめることはせず、 文章での概念説明のみとしました。単語量・内容ともまだまだ不十分ですが、 少しずつ充実させていきたいと考えています。

ピンイン索引 A〜E F〜J K〜O P〜T U〜Z


A〜E

安置[an1 zhi4] settlement

被拆遷人[bei4 chai1 qian1 ren2] removalee
立退きの対象となった家屋の所有者。

標準価[biao1 zhun3 jia4]⇒標準単価
コスト単価(成本価)での住宅購入が困難な低所得世帯 (住房困難戸)が 公有住宅を購入する際に適用される価格。 房改房の場合、標準価は負担額と別納額の合計で計算される。 たとえば、建築面積56平米の標準家屋の負担額は、 共働き家庭の平均年収入の3倍となる。
この標準価で住宅を購入した場合は、使用権、占有権は認められるが、 収益取得権、処分権には制限がつけられる。
1999年1月、標準価は廃止され、コスト単価に一本化された。

標準租私房[biao1 zhun3 zu1 si1 fang2]
文化大革命初期に政府の住宅管理部門によって接収されたが、 文革終了後に再び個人に返還され、 規定により賃貸料が決定されている私有賃貸住宅。

CBD:Central Business District ⇒ビジネス商区
都市機能の核心で、都市の経済、科学技術、文化などが集中し、 交通の利便もよく、昼夜人口量の差が大きい区域。 都市の黄金地帯に位置付けられ、地価が最も高いとされている。

拆遷[chai1 qian1]⇒立退き、移転; removal
拆遷人[chai1 qian1 ren2] removaler
立退き実施許可証を取得し、立退きを実施する主体。

産権[chan3 quan2] property rights
所有者が財産を占有、使用、収益獲得、処分する権利。

産権調換[chan3 quan2 diao4 huan4]⇒property right shift
立退きにあった人が、使用権の交換という形で新しい家屋を割り当てられること。 旧家屋と新家屋に価格の差がある場合は、金銭によって補填される。 「産権交換」ともいう。

成本価[cheng2 ben3 jia4]⇒コスト単価
成套住宅[cheng2 tao4 zhu4 zhai2]⇒ユニット住宅; separate flat
城区[cheng2 qu1]⇒市街区域
北京市では、中心部の4つの区(東城区、西城区、宣武区、崇文区)を「四城区」と呼び、周辺の4つの区(朝陽区、海淀区、石景山区、豊台区)を含めた8つの区を「八城区」と呼ぶ。

重置[chong2 zhi4]⇒replace

垂花門[chui2 hua1 men2]
中国の伝統様式の民家(四合院)で、 正門(大門)の次にある門。 四隅に短い垂れ柱(垂花柱)があり、彫刻や彩画が施されている。 「二門」ともいう。

大門[da4 men2]⇒正門、表門
中国の伝統様式の民家(四合院)では、 外部との唯一の接点となるため、居住者のステータスを示すシンボル的存在。 南東の隅に配置されることが多い。
二門照壁

大雑院[da4 za2 yuan4]⇒大雑院(だいざついん)
四合院に建て増しなどの改造を加え変化した住宅形式。 一般的な大雑院では、年齢や親戚関係にとらわれず、 いくつかの世帯が混在して生活している。 ふつう、大雑院に住む世帯数は多く、居住環境は悪い。

単位[dan1 wei4]
企業、行政機関、団体、部門、職場。
日本語の行政・法律用語である「法人」(政府機関をのぞく社会組織)よりもさらに広い概念で、 政府の各機関や部隊も含む。中国では人の仕事をたずねるとき、 「あなたはどこの単位ですか?」と聞くのが通例である。

単元房[dan1 yuan2 fang4]
倒座(儿)[dao4 zuo4 (r)]
中国の伝統様式の民家(四合院)で、 母屋(正房)に向かい合った南側にある部屋。 物置、使用人の居室、応接室などに利用された。

地産[di4 chan3]
財産としての土地。

釘子戸[ding1 zi hu4]
土地収用や再開発などに対する立ち退き拒否世帯。

二門[er4 men2]
二手房[er4 shou3 fang2]⇒中古住宅
不動産三級市場で売買される中古住宅。
二手は、英語のsecond handの意。


F〜J

房産[fang2 chan3]⇒house property
財産としての家屋。

房地産[fang2 di4 chan3]⇒不動産 ;real estate
財産としての土地(地産)および家屋(房産)の総称。
狭義には、家屋と土地はセットで存在しなければならず、 家屋のない土地は、房地産とはいわない。 広義には、家屋の存在しないただの土地も 房地産の一形態ととらえられる。

房地産市場[fang2 di4 chan3 shi4 chang3]⇒不動産市場; market of real estate
中国の不動産市場は、その売買方式によって3つに大分される。
一級市場: 国家が所有していた不動産を市場に放出する方式。 たとえば、公有住宅の払い下げや低賃料公共住宅 (
廉租房)の配分など。
二級市場: 住宅建設業者と消費者間で、 価格メカニズムによって流通する住宅市場。 開発業者が新築した商品住宅の販売が典型的な例。
三級市場: 私有家屋の所有者が、私有家屋を販売あるいは賃貸する 場合の住宅市場。

房改[fang2 gai3]⇒住宅制度改革
「住房(住宅)制度改革」の略
中国政府は1980年ごろから、都市部の住宅制度改革に着手し、 それまで単位によって分配されていた住宅は、徐々に商品化・市場化された。

房改房[fang2 gai3 fang2]
都市の労働者・職員が、住宅制度改革の規定にもとづき、 コスト単価あるいは 標準単価で購入した公有住宅。 「已購公有住房」ともいう。

房屋[fang2 wu1]⇒house
家屋、建物、住宅。
人が生活したり、生産およびその他の活動を行うために使用する 壁、屋根、門、窓などがある建物。 使用目的を居住・生活に限定しないという意味で、「住宅」よりも範囲が広く、 人が使用することに限定しているという意味で、「建築物」よりも範囲が狭い。 すなわち、建築物>房屋>住宅。

非成套住宅[fei1 cheng2 tao4 zhu4 zhai2]⇒非ユニット住宅
成套住宅以外の住宅。 一般的な平屋や筒子楼などが含まれる。
成套住宅

工程[gong1 cheng2]⇒工事、プロジェクト

公房[gong1 fang2]⇒公有住宅
都市住宅制度改革の際に、個人に払いさげられた公的機関の住宅。 払い下げられたときには、建物の新旧、品質、階などのほか、 居住者の勤務年数、年齢を元に割引額を決め、相応の福利とした。
90年代から始まった「危改事業」によって その数は急激に減少している。

公積金[gong1 ji1 jin1]
住房公積金を参照

公寓[gong1 yu4]⇒アパート、マンション
分譲のアパートあるいはマンションのこと。 内部構造は単元房とも似ているが、分配されることはない。 一般に住民は裕福な階層で、「〇〇花園」「△△家園」などの名称を冠することが多い。 公寓のある生活区には緑地が多く、専用駐車場や駐車スペースがあり、 小型スーパーやスポーツセンター、娯楽センターなどを設けているところがある。
公寓の管理は、単元房のように居民委員会が行うのではなく、 ディベロッパーの不動産管理会社またはさらに専門性が高い会社に依頼する。

国土資源和房屋管理局[guo2 tu3 zi1 yuan2 he2 fang2 wu1 guan3 li3 ju2]
⇒国土資源・房屋管理局

合居房[he2 ju1 fang2]
ふつう二世帯が一部屋ずつに分かれて住み、台所と洗面所は共同で使用する 2DKまたは3DKのアパート。

胡同[hu2 tong]⇒フートン、横丁
四合院 など中国の伝統的家屋が立ち並ぶ路地、横丁。 主に、明、清時代に大きくその数を増やした。北京の老百姓(ラオバイシン:庶民) は、胡同儿(フートァル)と巻き舌で発音する。
その語源は、モンゴル語の「井戸」あるいは「集落」であるといわれる。 →Photo

回遷[hui2 qian1]⇒戻り入居
拆遷によって立ち退きを迫られた住人が、 もともと住居があった場所(またはそれに準ずる場所) に再び住まいを構えること。「就地安置」ともいう。
外遷

経済適用房[jing1 ji4 shi4 yong4 fang2]⇒エコノミー住宅
入札を経て建設された低価格の分譲住宅。 多くの庶民は、商品房には経済的に手が届かないため、 政府が介入した住宅難解消対策の一つ。政府が不動産業者に対して、 地価優遇、税金軽減、ディベロッパーの利潤率の制限などの 配慮をし、建設費を抑えることで、高品質、低価格を実現しようとするもの。 廉租房とともに、社会保障的性格も 有している。
北京では、年間収入が6万元以下の常住戸籍を有する世帯のみが購入することができる。

就地安置[jiu4 di4 an1 zhi4]
居民委員会[ju1 min2 wei3 yuan2 hui4]⇒居民委員会(きょみんいいんかい)
末端の行政組織である街道弁事処の指導を受けながら活動する都市の 大衆自治管理組織。治安、衛生管理、行政との連絡役、 住民の公共福祉などの責務を負う。 日本の「町内会」「自治会」と共通する点もある。


K〜O

開発商[kai1 fa1 shang1]⇒開発業者、デベロッパー

廉租房[lian2 zu1 fang2]⇒低賃料公共住宅 ; low rent house
政府が提供する賃貸料の割安な住宅。 政府が設定した収入レベル以下の家庭のみ入居ができる。 不動産市場で取引されることはない。 経済適用房(エコノミー住宅)とともに、社会保障的性格を有している。

名城[ming2 cheng2]
著名な都市。北京市は、国家文物局によって「歴史文化名城」に指定されている。
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P〜T

三合院[san1 he2 yuan4]
中国の伝統様式の民家の一形態で、中庭(院子) をコの字形に取り囲むように建物が配置されている。 四合院のうち、一般的に南の壁に沿って建てられる 倒座がなく、北側の母屋 (正房)と東西の廂房 を中心に構成される。

商品房[shang1 pin3 fang2]⇒商品住宅、分譲住宅
商品として売買される家屋。以前は国や単位が福利住宅として 分配していたが、住宅制度改革後、売買が可能になり、 その割合は徐々に増加している。

社区[she4 qu1]
Communityの中国語訳。民生部により「一定地域の範囲内に住む 人びとによって構成される社会生活の共同体」と定義され、 一般的に、従来の居民委員会の規模を合併・調整し、 1社区は1000〜3000世帯で構成される。

私有房屋[si1 you3 fang2 wu1]⇒私有家屋
個人が所有、あるいは数人が共有する家屋(住宅と非住宅が含まれる)。
統計上で用いられるときは、住宅制度改革以後に登場した私有形態である「エコノミー住宅」「低賃料公共住宅」「払下げ公共住宅」などを含まず、以前から存在する私有家屋のみを限定して指すことが多い。
「私房」と略して言うこともある。

四合院[si4 he2 yuan4]⇒四合院(しごういん)
明清時代の伝統を残している中国の伝統的な住宅様式の一つ。 典型的な四合院は、母屋(正房)が、 北側に南向きに建てられ、東西南北の四方向を向いた部屋 (廂房倒座など)が 中庭(院子)を囲んでいる。
ひとつの四合院には、二、三世代の家族がいっしょに生活し、 四世代の大家族が住むこともある。 近年では、複数の家族が居住し内部構造もそれに合わせて変化した、いわゆる 大雑院になったものも多い。
三合院

筒子楼[tong3 zi lou2]
各階中央の通路を挟んで両側に部屋が並んだ形の建物。 多くの場合、元は公的機関や大学の事務棟または教室棟だった建物を 宿舎として利用している住宅。ふつう洗面所は共用で、 建物の真ん中に廊下があり、廊下の両側に部屋がある。

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U〜Z

外遷[wai4 qian1]⇒地区外移転
拆遷によって立ち退きを迫られた住人が、 もともと住居があった所とは別の場所に住まいを構えること。 「異地安置」ともいう。
回遷

危改[wei1 gai3]⇒危改事業
「危旧房改造」の略。すなわち、老朽化し住むのに危険な 家屋を部分的あるいは全面的に改築すること。多くの場合、取壊しを行った後、 近代的集合住宅や商業施設を建設する再開発事業の形態をとる。

危旧房[wei1 jiu4 fang2]⇒危険老朽化家屋
老朽化のために倒壊の恐れがあるなど住むのに危険な家屋。 危房、危険房屋ともいう。

文物[wen2 wu4]⇒文化財/文化遺産
国レベルの文化財は、 「中国文物保護法」(国家文物局:2002年12月3日公布) によって管理方法が制定されている。 地方レベルの文化財は、それぞれの地方ごとの条例によって管理される。

項目[xiang4 mu4]
項目。プロジェクト。

物業管理[wu4 ye4 guan3 li3] ⇒property management
独立した専門管理会社によって不動産の総合的な管理業務を行うこと。

廂房[xiang1 fang2]⇒脇部屋
中国の伝統様式の民家(四合院)で 母屋(正房)の両側にある棟。 母屋に次ぐ第2の居住スペースとして、あるいは厨房として利用されることが多い。

小区[xiao3 qu1]⇒集合住宅地区
いくつかの居住棟からなる集合住宅地区。 大きな小区では、学校や商店などもそろっている。 出入り口は1、2カ所に限られており、守衛がいる場合も多い。

異地安置[yi4 di4 an1 zhi4]
外遷

院子[yuan4 zi]
中庭。塀で囲まれた敷地。
中国の伝統様式の民家(四合院)では、 院子を囲むようにして建物が配置されるのが一般的。

照壁[zhao4 bi4]
正門(大門)を入ってすぐのところに設けた 目隠し用の壁。風水的には悪い気をはね返す役割があるという。 照墻[zhao4 qian2]、影壁[ying3 bi4]ともいう。

正房[zheng4 fang2]⇒母屋
中国の伝統様式の民家(四合院)で、 中庭(院子)の北に位置する 中心的な棟。一般に、生活空間として利用される。

直管公房[zhi2 guan3 gong1 fang2]⇒政府直接管理住宅
不動産管理局など政府部門が管理する公有住宅。

住房公積金[zhu4 fang2 gong1 ji1 jin1]⇒住宅積立金; public accumulation fund for housing construction
都市の企業(機関)に勤める職員が、 将来住宅を購入するときのために積立てる資金。 住宅制度改革によって制度が整えられてきた。 一部は職員が給料から差し引かれる形で負担し、一部は企業が負担する。 職員の負担額は、前年の給与平均に対する比率で決められる。
「公積金」ともいう。

住房困難戸[zhu4 fang2 kun4 nan2 hu2]
住居が狭いうえに収入も少なく生活が困難な世帯のこと。
中国政府はこれらの世帯に対し、家賃補助などの手段で救済措置を講じている。 また、これら世帯が
危改プロジェクトに遭遇して立退きを余儀なくされた場合、 1人あたり5uの家屋を安置することが定められている。
北京市では、2001年2月時点で、2万3828世帯の社会保障対象家庭が存在し、 そのうち約1万世帯、2万5000人ほどが1人あたり5u以下の住居に住んでいるという。

自管公房[zi4 guan3 gong1 fang2]⇒単位自己管理住宅; self-management public house
国有企業・機関、政府機関が管理する公有住宅。 住宅改革が実施される前は、最も多い住宅形式だった。 形式上は国有であるが、実際上、所有権は各単位にあった。

自建房[zi4 jian4 fang2]
自分で建てた住宅

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◆参考文献
(1)沈正超ほか編『住宅与房地産詞典』<学林出版社>2002年3月
(2)範翰章ほか編『中国房地産辞典』<中国建築工業出版社>2003年4月
(3)茵子「拆遷詞典」『北京房地産 2002.3』2002年3月
(4)茵子「拆遷詞典」『北京房地産 2002.4』2002年4月
(5)赤耳「房改詞典」『北京房地産 2002.4』2002年4月
(6)「中国の住宅を理解する 住宅キーワード」『人民中国』2001年12月
(7)文林峰編著『房改政策知多少』<中国労働社会保障出版社>2003年1月
(8)小島麗逸編『中国経済統計・経済法解説』<アジア経済研究所>1989年5月
(9)陣内秀信ほか編『北京:都市空間を読む』<鹿島出版会>1998年2月